介護事業者向けの法律相談
なぜ介護業における弁護士の役割
利用者との利用契約締結
介護事業者が利用者に介護サービスを提供するとき、はじめに必ず利用契約書を締結し、重要事項説明書の内容を説明します。
これは、事業所が利用者に介護サービスをどのように提供し、どのような義務があるのかを決める重要な法律行為なのですから、本来は非常に慎重に行わなければなりません。
しかし、実際には、利用者の受け入れは日常的に行っていることであるし、ということなどから、他の事業所から書式を入手したり、インターネット上のひな形をもとに作成した契約書を使い続けていたりする事業所も多いことでしょう。
ひな形を使った契約書は、必ずしもその事業所の実態に合っているものではありません。そのまま利用し続けると、問題が発生した場合に、対応が難しくなるケースもあります。また、最近は悪質クレーマー対策として、契約書の文言を修正する必要性も高まっています。
事業所の状況に合った契約書の作成やリーガルチェックについて、弁護士がアドバイスいたします。
介護事故
どれだけ気をつけていても、日常生活に介助が必要な利用者に対してサービスを提供する以上、介護事故のリスクから逃れることはできません。
ですから、起きてしまったことは仕方ありませんが、その対応を間違えればどんどんその紛争は拡大していきます。事業者は、事故後、利用者への事情説明も含めた損害賠償についての示談交渉はもちろん、場合によっては行政や捜査機関に対する対応などもしていかなければなりません。
これらすべての対応を法律専門家ではない介護事業者自身が行うことはそもそも不可能だと思われますし、例えば示談交渉に注目すると、介護事故の場合には事故当事者同士が話し合うこととなるのですから冷静な話し合いができないことが多いため、弁護士介入の必要性が高いということができます。
ですから、介護事故が発生したら、すぐに弁護士に連絡してください。初動から関与することで、紛争が拡大することを防止できる可能性が高まります。また、介護事故で利用者とその家族との間で紛争が顕在化した場合は弁護士が窓口となって交渉し、裁判などに対応することも可能です。
利用者からのカスタマーハラスメント
近頃は、介護職員が利用者やその家族から特別待遇を求められたり、無理難題や言いがかりのような悪質なクレームを受けたりセクハラや暴力や暴言などを受けたりすることの対応にに苦慮している事業所が増加しています。
しかし、事業所がこのような事態を放置していたり、その場しのぎの対応をしたりしていると、職員は心身ともに大きな負担となります。その職員が離職をしてしまったり、場合によってはその職員から安全配慮義務違反による損害賠償請求を受けたりする可能性も出てきます。
利用者からのカスタマーハラスメントの事案が発生した場合は、弁護士に依頼することで、相手方に対してどのような手段で、どう対応すべきかについてアドバイスを受けることができます。
さらに、弁護士は、相手方への注意や警告の書面を作成したり、交渉の窓口になったりすることもできるので、事業所や職員の負担は大きく軽減されます。
利用料の滞納
利用料は、介護サービスを提供するために必要不可欠なものです。ほとんどは介護保険から支払われますが、滞納が続いた場合に、のように利用者に請求していくかなどの問題が生じます。
中には、ご家族が利用者本人の年金を使い込んで利用料が支払えなくなっているなど、深刻なケースもあります。
しかし、実際事業所としては、転居先が見つかるまで、滞納している利用者を追い出すことは難しく、滞納額が蓄積してしまいます。
利用料の滞納への対応を弁護士に依頼することで、内容証明郵便の作成やアドバイスを行い、利用者本人が支払わない場合の連帯保証人との交渉、法的手続などをサポートします。
職員との労働トラブル
問題のある職員の解雇をめぐるトラブルなどの労働問題に強い弁護士にご相談いただくと、事業所に代わって問題社員へ注意指導書や通知書、退職合意書を作成します。事業所だけでは対応ができない場合は、弁護士がその職員との間では窓口となって対応を行い、もしその紛争が労働審判や訴訟になったときには代理人として裁判所に出廷します。
なお、介護事業者に多い労務関係の相談は次のようなものです。
- 未払い残業代請求
- パワハラ、セクハラの訴え
- 勤務シフト変更をめぐるトラブル
- 介護中の労災(腰痛など)をめぐるトラブル
- 問題のある職員への指導をめぐるトラブル
- 問題のある職員の解雇をめぐるトラブル労働問題に強い弁護士にご相談いただくと、事業所に代わって問題社員へ注意指導書や通知書、退職合意書を作成します。事業所だけでは対応ができない場合は、弁護士が窓口対応を行い、もし労働審判や訴訟になれば、代理人として裁判所に出廷します。
【参考裁判例(介護事業者が敗訴したもの)】
- 居宅介護支援事業所などを運営する事業者が職員の解雇について、不当解雇と判断され約1100万円の支払いを命じられた事例(平成30年5月28日山口地方裁判所周南支部判決)
- 特別養護老人ホームや老人デイサービスセンターを経営する事業者による職員の解雇について、不当解雇と判断され約600万円の支払を命じられた事例(平成30年1月25日東京高等裁判所判決)
- 訪問介護サービス事業者が退職者から未払い残業代の請求をされ、約110万円の支払いを命じられた事例(平成22年3月12日東京地方裁判所判決)
行政対応
介護事業と行政とは、密接な関係にあります。まずは介護事業所として、介護保険の対象事業者となるための指定を受けるところから始まり、日々の連絡調整、実地指導、監査など、さまざまな場面で行政への対応が必要になります。
また、職員との労働トラブルの際は、労働基準監督署への対応も必要になるでしょう。
しかし、行政からの指示や指導でも誤っている場合もあります。
行政への対応の際、顧問弁護士が立ち会うことで、行政側としても弁護士を納得させるために丁寧な説明を心がけるようになります。また、根拠の不明な指導や指示に対して、その場で質問することで、理不尽な指導や指示を撤回させることができる場合もあります。
感染症蔓延時の対応
新型コロナウイルス感染症が蔓延した時期には、事業所としても多くの不便や不利益を被ったことと思います。
介護事業は、感染症が蔓延しても、サービスの提供を止めることができません。そのため、利用者とご家族との面会をどうするか、感染症に怯えて出社を拒否する職員にどう対応するか、実際に感染症が出た場合にどうやって周知をするか、など事業継続のための事前準備を綿密に行った上で、臨機応変に取り組む必要があります。
この対応を怠って、利用者や職員が感染してしまうと、事業所が安全配慮義務違反を問われる可能性もあります。
弁護士にご相談いただくと、リアルタイムで更新される行政からの通達や法令の改正などをキャッチし、適時に情報提供を行います。利用者、職員などへの対応を、事業所と一緒になって考えていくことができます。
介護業の経営には
顧問弁護士が必須
介護業界を知る弁護士の重要性
介護サービスは多岐に分類され、各サービスに指定基準が定められていたり、サービス内容によって所轄官庁が異なったりと、非常に複雑な仕組みとなっています。
例えば、同じ高齢者が場所の提供を受けて生活しているということは共通しているが実は法的に異なる性質をもつものとしては、有料老人ホーム(このなかでも賃貸型と利用型に分類される)とサービス付き高齢者住宅があるといったようなことです。
このような複雑な業務内容をまったく介護業界を知らない弁護士にすぐに理解してもらうことは非常に困難です。業務内容をよく理解できないまま事件処理にあたると、説明をする事業所としてもストレスが大きく、事件処理そのものが滞ってしまうこともあります。
弁護士若林は介護事業者の顧問弁護士を長年務めさせていただいていることから、弁護士若林についてはこのような不安は無用です。
弁護士の経験の浅さ
弁護士はすべての業界に精通しているわけではありません。介護業界は特殊な分野なので、初見の聞き取りだけでは十分に理解することは難しいでしょう。
ホームページなどに介護事業所の顧問契約を募集している法律事務所はありますが、実際に「精通している」とまで言える弁護士は少ないのが現状です。
顧問弁護士を募集している弁護士が、介護業界に精通しているかどうかは、ホームページに掲載されている実績を確認したり、実際に弁護士と話をした上で見極める必要があります。
当事務所の特徴
当事務所は、依頼者からのご連絡に対して、迅速で的確なレスポンスを心掛けています(顧問先には例外なく私の携帯電話番号を教えますので、時間を問わず弁護士若林と連絡をとっていただいています)。
ご相談や打ち合わせにおいては、顧客の話をしっかりと聞いた上で、難しい言葉を使わず、わかりやすい選択肢をご提案いたします。
また、税理士や行政書士など他の有資格者と密にと連携し、当事務所に相談すれば万事解決というワンストップでのサービスを提供しています。
顧問先は常時20社程度(令和6年2月現在)ほどであり、幅広い業界において顧問を務めております。
初回相談は45分無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。